2024.10.25
コラム
リモートワーク・出社回帰の現状について あるコンサルタントの私見
こんにちは。テクノブレーンの蒲谷(かばや)と申します。
普段はエンジニアの方々と面談をして、正解のないキャリアというものに対していろいろと話す仕事をしています。また、並行して弊社オフィスのある五反田駅周辺の飲食店、主にラーメン店を日々調査するという重要な仕事もしています。
弊社では、出社の頻度は個人の裁量に任されているため、私は週に2~3回は五反田オフィスに出社し、町を徘徊してはまだ見ぬ名店を探っています(真剣)。最近はお店の入れ替わりが一段と早く、新しいお店も次々と出来てくるので飽きることはありません。ただ、古くからの名店が閉店しまう切なさもあります。最近は、店主のご高齢を理由に名喫茶「プランタン」の閉店や、角打ちのシブい店「かとう」の休店が続くなど、残念なこともあります。
ちなみに最近更新が滞っていますが、私のツイッターはこちらです。
さて、移り変わりが早いと言えば、最近はWeb企業での働き方、とくにリモートワーク/ハイブリッド/フル出社などの変化が活発になってきました。
強引な話の展開にはどうか目を瞑っていただき、直近の状況の整理と、それらに対する私見を述べてみようと思います。あくまでお世話になっているエンジニアの方々や企業との会話から得られた一つの見解ですが、何かしらの議論やお考えを整理しなおすキッカケに繋がれば幸いです。
■「大企業」の出社への方針転換
先日の日経新聞でこんな記事がありましたね。
サントリーなど日本企業も出社回帰 オフィス需要復調 2024年10月20日付 日本経済新聞朝刊
代表的な事例として上記が挙げられていました。
その他、とある国内大手と呼ばれるソフトウェア開発企業では、エンジニア含めてフルリモートを廃止し、週5出社必須の指示が入るといった話も耳にしています
いずれにせよ、規模の大きい企業が方針を変換している風潮が見られるのは確かで、全体の流れが変わってきたと判断して差し支えないように思います。
■スタートアップの企業は「プロダクト目線」「ユーザー目線」
一方で、スタートアップ、ベンチャー企業においても積極的に出社を選択するところが増えてきていると感じています。その中で特に感じるのは、「プロダクト目線」や「ユーザー目線」というものがこれまでより一層大事にされているということです。例えば…
・プロダクトのプロダクトの意思決定を迅速に行うために出社中心の働き方に変え、オフィスも移転
・0→1/1→10のフェーズにあり不確定要素が多いため、リアルタイムな議論が必要
・解像度を高めてプロダクトに対する目線を共有したいため、PdMやデザイン担当は週5で出社
・公共交通や小売店等のリアルサービスと絡むプロダクトでは、実際に街の中でプロダクトを利用し、ユーザー目線を持つことを重視するため、頻度は定めないが出社を推奨している
逆に、ユーザー目線を追求した結果、フルリモートになるケースもありました。エンジニアのための業務効率化プロダクトを開発/提供している企業では、100%オンラインのコミュニケーションで自社プロダクトを使って開発を進めることで、プロダクトの使いづらさや改善の方向性が見えてくる。
自分たちで開発したプロダクトをどんどん使いながらユーザー目線を高めるためには、フルリモートの方が適しているという方針ですね。。出社もリモートもそれぞれメリット・デメリットがありますが、リモートのデメリットがかえってプラスの効果を生むというのも面白いです。
※私の調査に基づいておりますので、具体的な企業名は控えています。もし、より詳しく知りたいという方がいらっしゃればぜひ一度お話ししましょう!
■個人的意見、考察
以下にいくつか代表的な意見をピックアップしてみました。
やはり出社/リモートは良し悪しではなく、プロダクトや企業との相性の問題が大きいことがわかります。
別の視点では「カルチャーやビジョンを大事にする企業ほど、出社でのコミュニケーションを大事にしている」という傾向も見えてきました。
当然といえば当然ですが、大型の資金調達を行った企業でも出社が大事にされていたり、メガベンチャーと呼ばれる企業群の中でも出社/リモートの扱いがさまざまであったり、企業が持つそれぞれの価値観にも密接に関わる問題であると感じております。
これらを踏まえて、私の考えを少々述べてみたいと思います。
・リモートワークという選択肢は今後も有効活用すべき
もはや改めて言うことでもないですが、リモートワークによって、子育てと仕事との両立や、自身が生産性を高められる状況を主体的に選択できるようになった点など、非常にポジティブな変化であると思います。
フルリモートは減少傾向ですが、今のところ、100%出社以外での勤務を認めないという会社はまだ少ないように思います。自分の性格やライフステージにより適切な選択ができるという環境は引き続き活用すべきと考えます。
・リモートワークにこだわることで機会損失が大きくなっていく
ただし、リモートを前提とした職業選択をした場合、機会損失がより大きくなることを危惧しています。
例えば「興味あるプロダクトだけど出社頻度が高いため見送った」「フルリモート企業に限って企業を探していたら、選択肢が少なくなってしまった」など、私が最近お会いした方の中でもそうしたケースは増えてきています。
私の感覚では、2022~2023年ごろにはWebサービス業界、その周辺業界では、半分から7割ほどの企業がフルリモート可、あるいはリモート勤務相談可という状況でしたが、最近はそれが2~3割程度になっています。明確に出社日を定める企業も増えていますね。
・転職をきっかけとしたスキルアップ、キャリアチェンジの機会を得づらくなる
加えて、出社推奨の流れを受けて、フルリモート希望の候補者に対する選考が厳しくなっていると感じています。特に、その時のスキル不足という理由より、「自律して成長するイメージが持てなかった」といった理由でお見送りになるケースを、以前にも増して頻繁に目にするようになりました。
対面でのコミュニケーションがあれば、日々一緒に仕事をしながら姿を見せて学んでもらうこともやりやすいが、フルリモートの場合は自律し自分で成長するようになってもらわないといけないという趣旨ですね。
このことから、フルリモートを必須とする選択がキャリア形成に及ぼす影響として、転職で自分の市場価値を100→120と伸ばすことが難しくなり、100→100での転職が多くなると考えられます。
転職のタイミングでストレッチした目標や業務内容にチャレンジし、結果として年収を上げていくという形でキャリアアップを実現する、ということは前向きな転職の考え方だと思いますが、フルリモート前提の場合、現状のスキルを維持した転職になってしまう可能性が高いということですね。
かなり「転ばぬ先の杖」的な話ではありますが、最近の動向から、転職時にはこうしたリスクを頭の隅に置いておく必要がありそうだと思ったため、書かせていただきました。
■まとめ
リモートから出社への回帰が進む中、フルリモートに固執するリスクが高まっている、という私見を述べました。2024年下半期に入ってから起きている社会全体の変化のように思います、今後、この傾向がより強まるか、あるいは一過性で終わるかは判断がつきません。
ただ、今後のキャリアを選択するうえでも重要かつ影響力のある変化であると思いますので、ご自身の取り得る選択肢を棚卸し、必要であれば修正していくうえで、今は良いタイミングだと思います。
ご自身のキャリアに関する情報収集や、お考えの整理の場、対話が必要であれば、ぜひ弊社にお手伝いさせてください。
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