2019.12.18

コラム

2020年 エンジニアの市場価値に対する変化と今後求められるもの

こんにちは。IT・WEB業界でスカウティングコンサルタントを担当している坂井です。
この1年様々な方のお時間を頂戴し、あーでもないこーでもないと時に脱線しつつお話をさせて頂いた方々、誠にありがとうございました。今年ご縁の無かった方も来年以降お会いできるものと信じつつ、この1年を通して様々なお話があった中で特に多く議題に上ったテーマについて今日はお話をしたいと思います。やや若い方を対象とした市場価値をめぐるテーマで書かせて頂きます。

●市場価値とは・・?

市場価値とは一般的には現在の自身の経験やスキルを明示して、どれくらいの金額でオファーが来るかということを図る物差しとなるものです。
市場価値という言葉の歴史を紐解くとバブル崩壊後の1997年山一證券や北海道拓殖銀行の破綻から大企業に入れば一生安泰という価値観が崩壊し、結果人材の流動性も上がり転職という言葉も世の中一般に溢れるようになったところから来ています。現在市場価値を実際の金額で図るサービスや金額明示での人材サービスや企業も登場してきており、あなたの市場価値はいくらですと明示するようなものも溢れてきています。

●実際のITエンジニア市場価値とは

まず、上記のようなサービスを例に取ると、転職市場の高騰化の原因からか一部現職年収から乖離した金額提示が発生しており、私の身近なケースでも現年収500万→1000万での提示などの夢のような話を聞いたことがあります。
今年私の仲介で転職をした方では現年収+150%アップの方が発生しましたが、一般的には現年収から微増~100万円アップが相場となるところは旧来通りです。また中には大幅なオファーを断って現職年収水準の企業に転職を決める方もおり、「能力の高さ=年収の高さ」と一概には決められないケースもございます。

●転職先の選び方

転職先の選び方は人それぞれなので様々なパターンがありますが一般的には・・・
① 仕事のやりがい
② 年収のアップ
③ 現職での課題の解決が可能
④ 面白そうなサービスや技術へチャレンジできる
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市場価値を主眼に置くと年収アップと答えるケースが一般的だと思います。私自身が初めてお会いした方に、「なぜ転職しないのですか?」と尋ねたところ、今より年収が倍になるなら考えなくもないが・・・という方もいらっしゃいました。とは言えその方は年収倍でもやはり動かないかな?とも仰っており結局答えは見えない様子でした
ではどうして動かないのか?その方の回答は至ってシンプルで、「今やりたいことができていてすごく仕事が面白くて仕方がないから」とのことでした。ただその方が私との面談に応じた理由が、ご自身の市場価値を知るためということでしたので、やはりそういった方も何かしらの答え合わせがしたかったのではないか?と考えました。

やりがいという点でいいますと、現職と比較する明確な基準がなく、外からの情報で判断するしかないと思います。その外からの情報も一部の知り合いから状況を聞いたり、技術をベースにしたコミュニティ活動の中での断片的な情報でしかなく、多くの方が、年収も高くやりがいのある仕事をできる理想的な会社を追い求めているのではないかと感じております。では何が本当の市場価値になるのでしょうか?

●本当の意味での市場価値

市場価値とは一言に尽きます。市場価値が高いとはやりたい仕事ができてお金が今より多く入ってくるオファーが何個もある状況を言います。どうしてもお金という目線で考えてしまいがちですが、本来あるべきはずの「やりたい仕事ができて」という点がすっぽり抜け落ちてしまっていると思います。お金だけで選ぶとしたら今の人不足のご時世で選べそうな気もしますし、もっと言うなら今のITエンジニア市場だとフリーランスの方の方が市場価値が高いことになります。
とは言えこういうサービスを作りたい、こんな人たちとサービスのコア部分を立ち上げたい、新規でゼロイチで立ち上げたいなど、様々な欲求がエンジニアの方にはあるはずで、それができるかつ年収も上がるという状況が最も市場価値が高い状態だと言えます。

●2020年に向けて

今後、ご自身の本当の市場価値を理解していないエンジニアは、転職市場から淘汰される時代が来ると予想しております。そしてそのターニングポイントが2020年になるのではないかと考えています。
既に2019年後半からいわゆるメガベンチャーの採用縮小、スタートアップ企業の相次ぐクローズなど、直近の2年間の中では考えられないような採用市場の動向が散見されます。
企業側としてもまず組織や理念に共感するエンジニアへの採用の動きが一部見られています。今まではエンジニアは「技術」だけやっていればいいという時代もあり明確にビジネスサイドとエンジニアサイドは区別されていました。しかし最近の動きの中でプロダクトやサービスへの共感を求められるケースも多く、個人の要望として技術に尖りたい、技術だけをしっかりやっていきたいという方の場合、高い評価を受けられなくなってまいりました。

そのため、今後各エンジニアには下記の項目に関してより深い理解が求められます。

① まずは自分のスキルセットを把握し、今までの経験から何を活かせるか?
② 今後やっていきたいことの方向性、ポジションが明確になっているか?
③ どこに「コアスキル」を置いて何を「マルチスキル」とするか
④ どこ向けに何を提供したいか?どんなものを作りたいか?どんなエンジニアになりたいか?

●20代→30代→40代へのキャリアパス

私が今年お会いされた方(特に若い方)には、よくこのような質問をしました。「今後どうなっていきたいですか?」と。敢えてざっくりとした質問をすることで、相手の志向を確認しようという意図を持っております。
多くの20代の方がまずは技術をしっかりやって将来的にはマネジメント方向に行きたいと答えて頂いています。ではマネジメントとは何のマネジメントですか?本当は技術一本で行きたいのではないですか?と言うと結構な確率で答えに詰まります。
当然です。私も答えに詰まりますし、普段なかなか考えることが無いのも事実だからです。
おそらく、これまでの日本で主流となっていたピラミッド型の会社構造が意識に刷り込まれ、「30歳で主任、35歳で係長になって部下をマネジメントする」というイメージを持っているためであると考えられます。

●キャリアパスとしてのマネジメント職

・テックリード、CTO
 技術の責任を負う、開発の全体のマネジメントをする役職でITエンジニア職種のマネジメントレイヤーというと世の中一般的に大体ここを指すことが多い。

・エンジニアリングマネージャー、VPoE
 エンジニア組織やエンジニアメンバーのマネジメントにコミットする職種。人や組織の育成~管理に至るまで幅広くマネジメントをする。最近多くなってきた職種。

・プロダクトマネージャー
 自社サービス企業の展開するプロダクト(言い換えると製品)のマネジメントを行い、プロダクトのグロースハックや事業展開、収支などサービスに対してコミットする。

・プロジェクトマネージャー
 昔からITエンジニアのマネージャーはこのポジションを指すことが多かったがプロジェクトの進捗、タスク、工程及び納期に対してコミットする。

それぞれのポジションにおいて、何をマネジメントするのかが明確になっており、10年前と比較してマネジメント職も多様化しています。今年若いポテンシャル層の方~マネジメントレイヤーといった様々な方にお会いするうちに、現在のIT業界のマネージャー層も様々な職種に分類されていることがわかりました。
今後さらに、各職種の専門性が細分化していくものと思われます。実際に、とあるメガベンチャーではEM職の中からオンボーディングの部門が立ち上がり、人や組織のマネジメントが細分化されたというケースもございます。
マネジメントもどこ向けに何をしたいか?という点が明確になってきており、将来に向けて何に専門性を持ってやっていきたいのかが問われる時代になってきたと考えております。

●最後に・・・

今年1年様々な方とお会いして、IT業界の成熟によって優秀な若手の方が続々と転職市場に出てきていることを実感いたしました。年々ITリテラシーに対する意識が高まってきている中で、日々情報や知識を更新していかないとすぐに時代の流れに取り残されていくのが現状です。
いよいよ2020年のオリンピックイヤーを迎えますが、来年以降は企業側だけではなく、よりエンジニア個人に落とし込んだ淘汰が始まる年であるとも思います。
将来どんなエンジニアになって、どんなことをしていきたいか?そこに世の中のニーズが合致した時、より好待遇で迎えられるケースが顕著になっていくものと思います。
より一層難しくなる時代になるからこそ我々に求められる役割も多様化すると思います。
来年もエンジニアの方々にとって良き相談相手となれるような、そんな存在でありたいと思います。また。皆様にとって来年も良い年となることを祈念しております。

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