2018.11.05

コラム

「博士取得予定者・ポストドクター」の就職にとってアカデミアサービスは福音となる

前回までは、研究者が民間企業に就職するにあたっての問題点、までを語ってきました。就職活動が多様化する中で「博士取得予定者・ポストドクター」が即戦力で採用されるケースは増えてくると予想されます。

しかし、そう聞くと、就職が容易となる社会になってきている訳ですから、今回スタートさせたサービスの必要性をあまり感じなくなってしまいます。なぜ、アカデミア向けのサービスが必要になってくるのでしょうか。

A.
私たちは採用ニーズが高まるだけでは不十分だと考えています。アカデミア在籍の「博士取得予定者・ポストドクター」が民間企業へ就職するケースが思ったように増えていない最大の理由は、多忙を極める研究者が「就職・転職」活動を行う為の時間を割くことができずに、結果民間企業の情報をほとんど得ることが出来ない状況でキャリアを選択せざるを得ないことにあります。また何とか時間を捻出して「就職・転職」活動をおこなったとしても、

「研究分野の情報は採用企業の守秘性が強いことから、自分自身の研究を活かす場を探すことができない」

「アカデミア以外のキャリア構築について検討する経験が少なく、そもそもどのような企業があるのかも知らない」

「学士・修士が行っている一般的な就職活動や、民間企業で働いているエンジニア・研究者が行っている転職活動とは、活動時期や入社時期といったような時間軸が合わない」

などといった問題を多く抱えることとなり、最終的には活動を断念してしまうケースも少なくありません。その結果、ニーズがあるにも関わらずアカデミア在籍の「博士取得予定者・ポストドクター」が民間企業への就職をする機会が生まれていないという状況が続いており、そこの根本的は解決が必要となるのです。

Q.
つまり「博士取得予定者・ポストドクター」に対する新たなサポートが必要であると、

A.
SNSなどのソーシャルメディアを通じてリクルーティング、採用活動を行うソーシャルリクルーティングという分野も復旧しているようですが、「博士取得予定者・ポストドクター」にはまだまだ浸透していない印象です。

理由として考えられるのは

「個人情報を事細かく登録する時間がない(面倒だ)」

「一度登録すると、興味のない企業からもやたらと連絡がくるので鬱陶しい」

「そもそもそういったサービスがあることを知らない」

といったところでしょうか。アカデミアに在籍している研究者にとって、研究成果を世の中に広く告知していくことが務めですから、自らのプロフィールを入力してもらわなくても該当者を調べる術はあります。テクノブレーンからお声がけしていく訳ですから「博士取得予定者・ポストドクター」が知らなくてもサービス自体は成り立ちます。

また、研究者としてのスキル・経験(研究成果)が、民間企業の募集している職種に即戦力としてなり得るか否かが判断されて声がかかるわけですから、滅多やたらに連絡が来ることもありません。

Q.
なるほど、確かに「博士取得予定者・ポストドクター」にとってほとんど負担のかからないサービスであると言える内容ですね。

A.
このサービスを始めるきっかけとなったエピソードに戻るわけですが、学会で研究発表した研究者達は、ご自身で「就職・転職」活動をしたわけでもなく、どこかにプロフィールを登録したわけでもなく、研究で成果を出し、世に広く発表することによってキャリアの可能性が拡がっていった訳です。その動きが狭い範囲に留まるのではなく、広げていくことが出来れば、それは「博士取得予定者・ポストドクター」にとっても企業にとっても素晴らしいことではないかと思うのです。そして実はアカデミア側にとっても素晴らしいことになるのではないかと期待しています。

Q.
「博士取得予定者・ポストドクター」や企業にとってのメリットはわかるのですが、アカデミア側にとっては、研究者をヘッドハンティングされていくことになってしまうので、デメリットしかないと思ったのですが違うのですか?

A.
確かにそういった要素があることは否定できません。研究のTOPにいらっしゃる方が「大切な研究者を引き抜かれた」と憤慨されるケースはあると思います。ですがそれよりもっと大きな効果をもたらせることができるのではないかと思っています。

Q.
それはどんなことですか。

A.
アカデミアに在籍している研究者の多くは任期付きで働いています。博士後期課程に進学する際やポストドクターで研究機関に就職する際、任期後の就職先について心配をしている方は多くいらっしゃいますし、それによって研究者としてキャリアを進むことを躊躇してしまう方は多くいらっしゃいます。

機械や電気、情報系を専攻している方々の中には「本当は研究者として研究を続けたいのだが、今(学士や修士)就職をした方が就職しやすいので、進学するのは止めよう」と考える方も多いと聞いたことがあります。

研究者として道を究め、研究者として成果を上げれば、アカデミア側だけでなく、民間企業からもお声がかかるという時代が実現すれば、安心して研究者としての道を進むことができる社会が実現すると考えています。

Q.
アカデミアにとってもキャリアの多様化が進むことで、研究者としての道を進める手段になるということですね。

A.
研究機関で就職支援を行っている担当者にお話を伺ったことがあるのですが、研究機関としては「出口戦略」がしっかりと整うことは、新しく研究機関で働こうとしている「博士取得予定者・ポストドクター」が安心して研究機関に入ってくることができる体制が整うことに直結しており、その実現こそが長期的な組織の活性化につながっていくという考え方のもとにうごいていらっしゃるようです。研究機関で培ったことが民間にも伝わり、交流が活性化することで日本産業界全体のレベルが上がっていく。それこそが最終的に目指している方向性です。

Q.
そんな壮大な目標があるなんてことは知りませんでした。

A.
時代がそちらに流れていっている訳ですから、何もしなくてもこの動きは止まらないと思いますが、流れに任せていては動きが鈍いので、私としてはスムースに流れていく一助を担いたいと考えている訳です。私たちは主役ではなく、あくまでも支援をさせていただくだけなので。

Q.
目標は実現すると思いますか?

A.
実現させるためにテクノブレーンにジョインしたんですよ。テクノブレーンには25年以上にわたって培ってきた研究者・技術者のヘッドハンティングを実行するノウハウがあります。そして様々な経験を積んでいます。そのノウハウと経験こそが、このサービスを本当に根付かせていくために必要なのだと思います。テクノブレーンがこのサービスに取り組む意義は正にここにある訳です。そんな思いで十数年ぶりに戻ってきました。

Q.
なるほど、どうして技術にフォーカスした人財スカウトを提供して25年になるテクノブレーンが取り組むことになったのか、その背景が私たち社員もはっきりと理解することができました。ありがとうございました。

A.
見た目、第一印象が悪い風貌をしていますが、そこは一旦横に置いていただき、この一緒にサービスを立ち上げていきたいと思います。今日は半ば一方的にお話を聞いていただき、ありがとうございました。

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